コービーの背中を追うヤニスはミルウォーキーでNBAの頂点を目指す

日本時間9月9日、絶対的エース、ヤニス・アンテトクンポが右足首負傷により欠場したミルウォーキー・バックスは、マイアミ・ヒートの前に惜敗。1勝4敗でセカンドラウンド敗退が決定し、2019-2020シーズンを終えた。2年連続MVPが確実視されるヤニスがチームを牽引しながらも優勝に遠く届かなかったためか、ウォリアーズやヒートなどの強豪への移籍が早くも噂されているが、ヤニスはフランチャイズプレイヤーとしてバックスを離れるつもりは毛頭ないようだ。

移籍は)起こることはない。それは起こり得ない。ある人は、壁に直面したら、その壁を避けて別の道を進もうとするだろう。しかし、私は違う。私はその壁を乗り越えていく。私たちは、チームとしてより成熟しなければならない。個人的に、来季は必ず進化して戻ってくる。

ーヤニス・アンテトクンポ

ヤニスがバックスに残留する場合、今オフに5年総額約247M(約260億円)の「スーパーマックス契約」を結ぶ可能性がある。バックスは他チームよりも80M(約85億円)多い金額を提示でき、チームの顔であるヤニスを引き止めるために、バックスはNBA最高額の契約延長という形でヤニスに最大の敬意を払うだろう。 

一方で、ヤニスはそのスーパーマックス契約を断る可能性もあるのではないかと個人的に考えている。悲願の優勝を望み、今季のNBA最高勝率でプレイオフに臨んだヤニスだけに、今回のセカンドラウンド敗退でのシーズン終了はあまりにも早い幕引きで、圧倒的に不本意な結果だったであろうことは容易に想像できるからだ。過去には、レブロン・ジェームスやティム・ダンカンも、割安な年俸を受け入れたことで優勝を達成したという実例もある。本気で優勝を望むのであれば、最優先事項は最高額での契約ではないことは火を見るよりも明らかだろう。

ヤニスはかねて、優勝を切望している。それについて、「師」として仰いでいた故コービー・ブライアントとのTwitterでの掛け合いが強く思い出される。

3年前のオフシーズン中となる2017年8月、Twitter上で盛り上がりを見せていた「Kobe Challenge」への挑戦で、コービーからヤニスに「MVPを獲得せよ」という指令が出た。

コービーから与えられた最重要課題にヤニスは全力で取り組み、その年彼は見事にMVPを獲得した。その後、ヤニスはさらなる高みを目指し、翌年にも再度「Kobe Challenge」にエントリー。今度は「優勝せよ」との究極の指令が出た。

今年1月、ヘリコプター墜落事故によりコービーが急逝し、コービーに優勝の姿を直に見せることは叶わないこととなった。それでも、ヤニスの心の中では、天上で見守るコービーに自身が優勝を果たす姿を見せたいと願い、特に今季は真剣にその大目標に向けて全身全霊で取り組んでいたことだろう。

引用:ESPN Twitter

レイカーズという超名門で5度の優勝を果たし、ファイナルMVPにも2度輝いたコービーに憧れを抱き、自分自身も1つのフランチャイズで可能な限り多くの優勝を、と望んでいたとしても全く不思議ではない。冒頭に紹介した「私は直面した壁を避けずに乗り越えていく」という発言は、ヤニスのそんなコービーを強く意識した思いが背景にあったのではないかと、私は思っている。

とはいえ、彼はまだキャリア7年目で、弱冠25歳。キャリアの最盛期への突入ももう少し先で、この若さで2年連続MVP獲得確実と言われる存在にまで上り詰めたこと自体が特筆に値し、そこまで多くを求めるべきでないとも個人的には感じる。

コービーはシャックという大きすぎる相棒の存在もあり、優勝、そして3連覇の経験がかなり早かったが、ジョーダンやレブロンもプレイオフで思うように勝ち進めない時代がそれなりにあった。その苦しい時代を経験したことでさらに一皮むけ、ジョーダンは2度の3連覇、レブロンは8年連続ファイナル進出という偉業を成し遂げていったのだと思う。ヤニスには、地に足をつけながら確実に必要な進化を続け、数年後にはNBAを真に支配できる存在になってほしい。


ただ、今年はレイカーズ対バックスのファイナル、レブロン対ヤニスを本気で見てみたかった…

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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