アンソニー・デイビス「レイカーズはコービーのために戦っている」

ヒューストン・ロケッツとのセカンドラウンドを制し、ウェスタンカンファレンスファイナル進出を決めたロサンゼルス・レイカーズ。3-1と王手を掛けたゲーム4、試合後の記者会見でアンソニー・デイビスは、自身とレイカーズの「コービーとの今」について語った。

ADとコービーとのコネクションは、2012年のロンドン五輪に遡る。当時、ADはまだ弱冠19歳。ニューオーリンズ・ホーネッツ(現在のペリカンズ)からドラフト1位指名を受け、鳴り物入りでNBAでのキャリアをスタートさせる直前の夏だった。コービーはADのメンターとして、五輪期間中、ADにプロ選手のいろはを指南していた。デイビスはNBAのレジェンドであるコービーに対して、物怖じすることなく、あらゆる質問をぶつけたという。そんなデイビスの貪欲な姿勢と情熱を、コービーは称賛していた。

引用:「Anthony Davis says he loved working with Kobe Bryant on Olympic team」(Los Angeles Times

五輪期間中、こんな「珍事件」も起こった。対ナイジェリア戦、60点差という圧倒的な大差がついた試合の終盤で、デイビスに出場機会が巡ってきた。「未来の殿堂入り選手たちと一緒にコートに立てる」。当時のデイビスはそんな浮き足立った気持ちがあったためか、あろうことかロッカルームにユニフォームを忘れてきてしまった。

コーチKがデイビスを呼び、上着を脱ごうとすると、ユニフォームを着ていない自分自身に気がづいた。デイビスはユニフォームを忘れたことを他の選手に気づかれまいと、コーチKに静かに説明をすると、ベンチに下がっていった。

すると、コービーはその異変を察知し、声を掛けた。「なぜ試合に入らない? チャンスだぞ?」。デイビスはコービーに自分がユニフォームを着てくるのを忘れてしまったことを話すと、コービーは上着の上からそれを確かめようとしたという。先の写真は、まさにその光景を撮影したものだ。

コービーはそんなプロらしからぬ失態を犯したデイビスを、書き表すことのできないような言葉で「罵倒」したという。それ以来、デイビスは試合前に必ず、ユニフォームをしっかり身につけているかどうかを確認するようになったという。コービーは、プロとしてどう試合に備え臨むべきか、デイビスに手痛い方法で指導した。

引用:「Anthony Davis Says The Lakers Are Playing For Kobe Bryant」(Sports Illustrated)

ゲーム4の直後の記者会見、デイビスがインタビューの際に着ていたのは、そのコービーを「G.O.A.T.」(「史上最高」を意味する「Greatest of All Time」の頭文字をつなげた造語)を前面に出したTシャツだった。会見の中でデイビスは、自身とレイカーズの「コービーとの今」について、力強く語った。

私が思うに、自分だけではないと思うが、チームの誰もが、コービーのことを思っている。全てのタイムアウト、全てのハドルの時に、私たちは「Mamba on three」という掛け声を出す。それは私たちが、組織のためだけでなく、「彼のために戦っている」ということを常に思い起こすためでもある。 … 皆、彼を思い出すために、儀式や何か特別なことをしているんだ。 私たちはいつも、彼のことを考えている。私は、コート上でもコート外でも、常に彼のことを思っている。このTシャツは、最高のシャツだと思った。チーム全員に送られたんだ。このTシャツは、彼のことを忘れないようにするためのもう一つの手段さ。

ーアンソニー・デイビス

続けて、デイビスはこう語る。

コービーのことを話すことがタフだと感じる時もある。だけど、彼と同じカテゴリーにいられるということは、とても大きな意味がある。彼が僕らを天から見下ろして応援してくれているということを、私は知っている。私たちは彼のために戦いたいんだ。彼の名前を挙げられることですら、とても名誉なことなんだ。

ーアンソニー・デイビス

レイカーズが最後に優勝を飾ったのは2010年、コービーが自身5回目の優勝を果たした年だった。あれから10年。デイビスやレブロンなど、コービーの意志を受け継ぐ者が集まり、名門・レイカーズが再び今、最も優勝に近いチームとしてプレイオフで熱戦を繰り広げている。ウエスタンカンファレンスファイナル、そしてファイナルと、これからが真の正念場を迎える。天から見守るコービーに、優勝という最高の贈り物を届けることができるか。

引用:「Anthony Davis: We want to win every time we wear Kobe Bryant’s Black Mamba uniforms」(Sport World News)

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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