レブロン・ジェームスが足を踏み入れるかもしれないロードマネジメントという聖域

12月22日の開幕がほぼ確定したNBAの2020-2021シーズン。ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームスは18年目のシーズンを迎えることになるが、これまで避け続けてきた「ロードマネジメント」という聖域に足を踏み入れることになるかもしれない。

引用:「LeBron James, Lakers will be load-managing like crazy as NBPA agrees to expedite 2020-21 season」(CBS SPORTS)

NBAの典型的なオフシーズンは、プレイオフに進出するかどうかや、プレイオフでどこまで勝ち進めるかによって、おおよそ3〜5カ月の間のどこかに落ち着く。しかし、皆さんもご存じの通り、今季と来季のオフシーズンは決して典型的なものではない。ロサンゼルス・レイカーズは10月12日、2019-2020シーズンの優勝を果たした。先日、NBPA(選手会)は2020-21シーズンを12月22日に開始するというリーグの提案を承認したが、これは大きな経済的な効果を生み出すクリスマスゲームをテレビ放映に間に合わせる狙いが一つにあった。

計算してみると、昨季の最後の試合と来季の最初の試合の間はたった「9週間」トレーニングキャンプを含め、ファイナルに出場したレイカーズとヒートにとっては純粋なオフは1カ月半もない。カンファレンスファイナルに出場したナゲッツとセルティックスにとってはそれに1〜2週間が追加される程度だ。

特に、プレイオフが「バブル」という独特で過酷な状況だったことを考えれば、このスケジュールは非常に短期間のように思える。確かに、チームや選手は移動する必要がなかったことは大きなことだった。しかし、プレイオフ期間中は、基本的に1日おきでプレイしなければならなかった。選手たちにとっては、この特殊な状況は決して好ましいものではなかったし、おそらく来季についても同様に好ましいとは考えられていない。彼らが同意したのには単純な理由が一つあったからだ。それはお金だ。

リーグは、2020-2021シーズンの開幕の時期について、「12月22日開幕」「1月18日開幕」の2つの選択肢をずっと模索してきた。この2つの間には大きな違いが生まれる。後者の場合だと、前者に比べて約5億ドル(約500億円)の損失を抱えることになると推定されており、選手たちはそれらの損失が自分たちの懐にも影響を及ぼすことになると知っていた。そのため、12月22日に開幕し、通常の82試合よりも10試合少ない72試合のシーズンを戦うこと、連戦の数も24回から14回に抑えることを選んだ。

それらに鑑みるとおそらく来季は、レブロン・ジェームスとレイカーズを含む多くの選手と多くのチームが、ロードマネジメントに取り組むことになると予想される。レブロンは来季、彼にとって18年目のシーズンを迎え、また開幕直後の12月30日には36歳になる。レブロンは自身4度目の優勝を果たしたばかりで、来季はそれを5度目に伸ばすチャンスとなるシーズンであることを知っている。本当に優勝を追い求めるのであれば、この特殊なスケジュールのシーズンの進め方として、無理をして足を酷使することはないのではないだろうか

おそらく、レイカーズはアンソニー・デイビスもより多くの休養を取ることになるかもしれない。健康なスター選手がゲームを欠席することを、これまでリーグは基本的に良しとせず、抑止しようとしてきた。しかしこのコロナ禍の特殊な状況下では、推測されるのは、NBAはロードマネジメントについてそのスタンスを軟化させるということだ。

レブロンの昨季の活躍は、本当に目を見張るものがあった。レギュラーシーズンのゲームの71試合のうち67試合をプレイし、毎試合ほぼ35分出場していた。リーグがパンデミックの真っただ中でプレイを中断して3月から8月までの中断期間があったが、レブロンと他の誰もが、シーズンがいつ再開されるかわからない状態のままコンディションを維持し続けなければならなかった。実質、2019年10月から2020年10月までのほぼ1年間、NBAの高いレベルのコンディションを維持しなければならなかった。それは、心身ともに相当にハードなものだ。

過去これまで、レブロンはロードマネジメントについては疑問を抱いてきた。昨年12月、記者からロードマネジメントについて尋ねられたレブロンは、このように答えていた。

もしケガをしているのなら、私はプレイしない。しかし、もしそうでないのであれば、私はプレイする。それが私のモットーだ。シーズンの後半になってきて、もうこれ以上チームの成績が変化しないという状況にならない限り、健康なのにプレイしないなんていうことがあるのだろうか? 個人的には、それは理解しがたいことだよ。

自分のキャリアにおいて、プレイできる試合が何試合残っているかわからない。試合を見に来てくれる子どもがどれだけいるかわからないけど、私のプレイを見に来てくれる子どもがいるかもしれない。もし私が欠場したらその子どもたちはどうなる? 試合に出場することは、私の義務なんだ。

ーレブロン・ジェームス

レブロンの考え方は至ってシンプルで、筋が通っていて、単純にかっこいい。しかし、昨年12月と比較し、まったくと言っていいほど現在の状況は異なる。捉え方に変化があっても不思議ではない。レブロンが2020-2021シーズンで2連覇を目指すのであれば、ロードマネジメントという聖域に足を踏み込んだとしても誰もそれを咎めることはできないし、むしろそれが最も合理的な方法のように思える。

まだまだ先行きが圧倒的に不透明なまま突入することになる2020-2021シーズン、NBAにおいて選手の采配においても「ニューノーマル」が見られるかもしれない。

引用:「Lakers’ LeBron James on load management: ‘If I’m healthy, I play’」(Los Angels Times)
JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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