NBAキャリア13年のコーリー・ブリュワーが守れなかった現役選手とは?

圧倒的な運動量と粘り強い執拗なディフェンスで、13年にわたりリーグを盛り上げてきたコーリー・ブリュワー。守備の名手である彼が、NBAの現役選手の中で「守れなかった」選手がいた。

今回は、彼の口から語られた「アンストッパブル」な選手のうち5人を取り上げ、彼がその5人に対してアプローチしていた守り方、その時に彼が感じていた心の内側に迫りたい。ブリュワー自身も語っているが、私たちファンは、思っている以上にNBAのスター選手を守ることの難しさを理解していないかもしれない。ブリュワーはその難しさについて非常に巧みに言語化し、中高生がディフェンスを向上させるのに参考にできる要素がたくさんあるように感じた。一流の選手は、平凡な選手よりはるかに多くのことを思考し、科学していることがわかる。このブログを通じて、それを少しでも肌で感じていただけたら幸いだ。

引用:「How Corey Brewer’s reign as NBA’s active ironman came to an end」(Los Angels Daily News)

“これまでの13年のNBAのキャリアの中で、多くのオールスター選手や将来の殿堂入り選手を守ってきた。私がこれから話すのは、ベスト・オブ・ザ・ベストの選手についてだ。私は彼らを封じ込み、彼らをイライラさせようと挑んできた。

申し訳ないが、ファンの皆さんは、NBAのスター選手がどれだけ優秀なのか、気づくことができていない。NBAのそれぞれチームの15番目の選手でさえ、本当にバスケがうまいんだ。NBAでプレイするということは、本当に、本当に至難の業だ。このリーグのスーパースター選手は、雲の上の存在だ。

そんなスーパースター選手を守るというのは、一体どういうことなのか? これから、選手ごとに違いを噛み砕いて紹介していこうと思う。それでは、これまでに私が対戦した現役のNBA選手に焦点を当てていこう。

■レブロン・ジェームス

引用:「Guarding Stars: Corey Brewer on guarding LeBron, KD, Giannis, Harden, Curry, more」(Basketball News)

最初はこの男だ。レブロンを守るのが難しいのは、彼が非常に「スマート」だからだ。彼は何でもできる。俺は、いつも彼にジャンプシュートを打ってほしかった。もしレブロンが俺に対してジャンプシュートを打ってきたら、俺は成功だと思っていた。なぜなら、彼のドライブは止められないからだ。本当に止められないんだ。誤解しないでほしいのは、彼は決してシュートを打てないわけじゃない。彼は実際にシュートが打てるし、ジャンパーの精度は上がっている。それでも俺が彼に毎回ジャンプシュートを打ってほしいと思うのは、彼がリングに向かってドライブした時には必ず得点されてしまうし、ビジョンがすごすぎて他の誰かが得点するためのプレイができてしまうからだ

レブロンがリングに向かっていき、誰かがヘルプに来るという場合に、彼はそれが起こる前に次にどのようなプレイをすべきかすでに知っている。ビッグマンが合わせに飛んでくれば、彼はボールをリングへと上げる。大抵の人ができないような鋭いパスでコーナーへとボールを送る。それこそ、俺が彼に対して感じることだ。トランジションではレブロンに対してできることは何もない。ただ彼の進路に入るというだけだ。本当に、ただ進路に入るだけなんだ。半分ほどは、彼があなたを吹き飛ばして終わりさ。

ディフェンスでいうと、彼のバスケットボールIQの高さが多くのスティールを奪うのに役立っている。例えば、右に行くときに特定のパスを出したがる、のような傾向を知っていて、それをスティールするために適切な位置にいる。そして、すべてのセットプレイについて叫びながら説明している彼はリーグに長くいるので、どのコーチのプレイも知っているし、どの選手の傾向も知っている。だから彼は「レブロン・ジェームス」なんだ!

だから、俺がレブロンを守る時にいつも考えていたのは、「ジャンプシュートを打ってくれ!」ということだ。毎回ね。彼にジャンプシュートを打たせることができれば、俺は自分の仕事をしたことになる彼がリングに向かっている時、つまり他の誰かのためにプレイをしてチームメイトを巻き込んでいる時には、彼らは100%勝つんだ

■ヤニス・アンテトクンポ

引用:「Guarding Stars: Corey Brewer on guarding LeBron, KD, Giannis, Harden, Curry, more」(Basketball News)

ヤニスを守るのはタフだ。彼はまだ若いし、成長が止まらない。彼と対戦するたびに、彼が改善していくのがわかるし、彼が自分のゲームに新しい何かを加えているのがわかる。彼は、対戦する時にいつも「ふぅ、これは長い夜になりそうだ…」と思わされる選手の一人だ。彼は自分のゲームを知っている。とにかくバスケットに向かう。ペイントに入れば2点になることを知っている。あの長さ(ウィングスパン)と運動能力と強さは一体どうやって手に入れるんだ? 彼を少しでも止められたらいいね。体重が増し、体格も大きくなってきているので、ペイントに入るとほとんど止められなくなってしまった

彼はジャンプシュートをものにしないといけない。彼がシュートが打てなくて良かった。なぜなら、もし彼が確実にシュートを決められる選手だったら、彼は完全にガードできない選手になってしまうからだ。文字通り、制御不能だ。でも、彼はシュートが上達してきている。ポストゲームでも改善してきている。ユーロステップ、運動能力、リングアタックに関しては、彼にとって非常に簡単なことだ。彼がジャンプシュートを決められたら―彼は熱心に取り組んでいるから、必ずや決められるようになるだろう―われわれは彼のゲームが別の次元に入るのを見ることになるだろう

あのレベルに到達した選手を見られるのは、本当に素晴らしいことだ。新人の頃は本当にガリガリだったけど、「彼なら大丈夫だ。真剣に自分のゲームと向き合って取り組んでいたら、彼は絶対に大丈夫」と思っていた。そうしたら突然体重が増え、熱心に取り組み続けていることで自信がついた自信は、バスケットボールにおいて非常に重要なことだ。自信は、長い時間を掛けて少しずつ力に変わっていく。それが、ヤニスをヤニスたらしめるんだ。彼はより強くなり、より良い選手になった。そして、最も重要なのは、彼が一度ブレイクしてしまえば、私たちは毎年スーパースターが成長していく姿を見れるようになる、ということだ。彼のゲームはさらに別のレベルに行くと思うよ。2度もMVPを獲得している選手のことをこんなふうに言うのはおかしいと思うかもしれないが、俺はそう思っている。

もし今、彼を守るとしたら、ジャンプシュートを打つように仕向ける。その時は、「ギャップを作る」ことが重要だが、ギャップを作りすぎてはいけない。彼がリングに向かおう、という頭になってしまうからだ。だから、彼にジャンプシュートを打たせるための絶妙な距離を作るんだ。それが今の彼を守るための方法だ。しかし、ヤニスは本当に熱心に取り組む選手の一人なので、彼は向上し続けるだろう。3年後には、スカウティングレポートが全く違ったものになっているような気がする。彼がジャンプシュートを武器に加えたら、まさに「クレイジー」になるだろうな

■ジェームス・ハーデン

引用:「Guarding Stars: Corey Brewer on guarding LeBron, KD, Giannis, Harden, Curry, more」(Basketball News)

ジェームス・ハーデンは、NBA史上最高のスコアラーとまでは言わないかもしれないが、最高のスコアラーの一人ではあることは間違いない彼を守っているときは、彼にとってあらゆることがタフになるように心掛けていた。俺は彼と同じチームで一緒にプレイしたことがあるから、彼がどんなところに行きたがるのかは知っている。彼はボールを扱うのがとても巧みだ。彼はディフェンダーをリングまで連れていったうえでファウルを引き出す方法を知っている

俺がハーデンとマッチアップする時は、常にスイッチを仕掛ける。彼にプレッシャーを掛けて、彼を少しでも消耗させようとする。また、少しでも彼がリングに近づかないようにする。だから、彼をガードする時の俺の考え方としては、彼を厳しくマークし、彼にタフショットを打たせたいんだ。俺は、彼にステップバックをたくさん打ってほしいと思っているステップバックが彼のベストショットだという人もいるだろうけど、僕はリングに向かっていくのを守ってアンドワンになってしまうくらいなら、ステップバックを打たせたほうがいいと思っている

ハーデンは特別な選手だし、彼のようにボールを常に持っている選手を守っている時は、「何かを取り除く」ということが必要になる。俺の場合は、彼をリングから遠ざけて、彼にステップバックを打たせたい。彼はステップバックで俺を負かす夜もあるかもしれないけど、彼は本来、毎晩リングに向かっていってファウルを取ることで俺を負かしたいだろうからね。

ハーデンにプレッシャーを掛けて消耗させるのが好きだから、彼にオールコートでべったりついていくんだ。ボールが彼の手に渡ったらすぐに彼をつかまえて、そこからずっと彼を消耗させようとする。うまくいけば、第4クォーターまでには、ステップバックが第1クォーターの時よりもずっと入らなくなっているはずだ前半にいくつかのシュートを入れていたとしても、私が十分にハードにプレイし、十分にプレッシャーをかけていれば、第4クォーターでのシュートはより難しくなっていて、チームに勝利のチャンスを与えられると考えている

■ケビン・デュラント

引用:「Guarding Stars: Corey Brewer on guarding LeBron, KD, Giannis, Harden, Curry, more」(Basketball News)

ケビン・デュラントには欠点がない。彼をどのように守るかというのは本当に難しい。彼を同じように守ることはできない(彼が多彩に攻めてくる)から、彼を同じように守ったことがない。何度も彼を見ては、彼が試合に出ないことを願うばかりなんだ。

俺は、彼の目の前に出ていくことに集中する。彼の手からボールを離したいが、彼は背が高いので、それはほとんど不可能だ。でも俺は、彼の前に出ることで彼にボールを触らせないよう、できる限りのことをする。もし彼がボールに触れるとしても、ペリメーターで触れるようにさせたい。その後は、ショットクロックが切れることを願って祈るか、手を上げてシュートチェックにいける状況になることを祈るしかない。

彼に俺の存在を知ってもらうために、ただ彼の邪魔をしたり、挑戦したり、ぶつかったり……何でもいいから、全力で彼にぶつかっていった。彼が若い頃は、彼にバンプして彼のスポットから出させて、彼の体やハンドリングを止めることは簡単だったが、今じゃ彼にとってゲームはとても楽なものになったし、彼は体が強くなったので、それがあまりできなくなってしまった彼のハンドリングは信じられないほど良くなっているから、彼からボールを奪うことなんてできない

彼は、ゲームが試合終了間際にある時にシュートを決められる男だ。彼はクラッチなんだ。やりたいことは何でもやれるから、彼がいなくなることを願うしかないよ。

■ステフィン・カリー

引用:「Guarding Stars: Corey Brewer on guarding LeBron, KD, Giannis, Harden, Curry, more」(Basketball News)

ステフィン・カリーをガードするのは、まさに悪夢だ彼は、ハーフコートを過ぎたらどこからでもシュートができるし、それを難なくできる。彼がハーフコートを過ぎた瞬間からすぐに守らなければならなくなるので、こっちはギアを上げてマークしなければならない。俺は、ある程度のウィングスパンがあるから、彼をドライブさせようとするだけだ。スリーポイントのステフィン・カリーよりも、レイアップのステフィン・カリーのほうを守りたい。もしステフがスリーポイントを連発し始めたら、必ず負けることになる。ほとんどの場合、彼はシュートを決めるだけでなく、彼のスリーポイントで観客をゲームに巻き込み、チームはそれを糧にすることができる。それからは彼のやりたいことがやれるようになる。彼がスリーポイントを決めて観客がそれに夢中になったら、ダブルチームを組んで対抗する。しかし、そこから彼の高いパススキルの出番になり、他の選手を巻き込んでいく。先ほども言ったように、彼がスリーポイントを決めているときは悪夢だ。

彼はまた、これまでで最高の「おとり」になれる選手の一人でもある彼がハーフコートを越えたら、彼は全ての選手にスペースを与えるようになる。先ほども言ったように、彼がハーフコートを越えたら、彼を守らなければならない。たとえ彼がハーフコートラインに立っていたとしても、俺は彼をマークしなければならない。そうすると、他の4人は十分なスペースでプレイできるんだ。

俺が彼を守る時は、「レイアップに行け!」と思う。 そうすれば、勝てるチャンスはある。なぜなら、ステフがスリーポイントを決めたら、それは幕が閉じるのと同じだからね。彼は、彼のシュートの打ち方でゲームを変えた。皆がピック&ロールでシュートを打っているし、今は誰でもスリーポイントを打つようになった。それが彼を偉大にしている。だから彼は2度のMVPに輝いたんだ。「歴代で最も偉大なシューターは誰だ?」と問われれば、その一人は間違いなくステフだ。彼はゲームを変えた。バスケットボールのシュートに関して、真の革命家だ

ステフとKDが同じチームにいた時は、そりゃあもう怒りを通り越したねまるでそれだけでは足りないかのように、クレイ・トンプソンもコートにいた。3人とも調子が良ければ、ボールが狂ったような早さで入り続ける可能性がある。どうしたらいいんだ? 基本的には好きな誰かを選ぶしかないけど、何が起こるかはわかっているだろ? 彼らが優勝した年のプレイを見てみるといい。守るのはほとんど不可能だった全員がバスケIQが高くて、それがさらに守るのをタフにしている

彼らはお互いをうまく使っていた。彼らは常に動いて、走って、お互いをオープンにしていた。見ている分には楽しいけど、対戦するには最悪だし、マークするのなんてもっと最悪だ。シュートがうまいやつからシュートがうまいやつにスイッチしたって、何ができるんだ? タフすぎる。あの3人が一緒にコートにいた時や、ステフやKDをピック&ロールで守る時なんかは、これまでで最もタフなマッチアップの一つだったよ。スイッチしても、ステフより小柄だったらKDにつぶされるし、ステフより大柄だったらステフにかわされる。ガードするのなんて、ほぼ無理なんだ。

もっとも、KDがいなくても、健康になればウォリアーズはまだまだ強い! クレイはケガをしたし、チームにも今年は多くのことが起こったが、2人はどこにも行っていない。まだ終わっていないんだ。だから、「素晴らしいランだった」なんて過去のように言ったりしないよ。”

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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