デリック・ローズが辿り着いたメンターとしての境地、身に付けた適応力

デトロイト・ピストンズにとって直近10年で最も高い1巡目7位で指名されたキリアン・ヘイズは、ヘンリー・フォード・デトロイト・ピストンズ・パフォーマンスセンターで行われた最初のチーム練習で、チームを魅了した。

“Derrick Rose is embracing role as NBA vet: ‘You’ve got to adapt’”(THE UNDEFEATED)

ヘッドコーチのドウェイン・ケイシーがフロアリーダーとして起用するキリアン・ヘイズは、走って得点を重ね、4つのブロックショットも披露した。

しかし、練習が終わると、ヘイズは学んでいた。元MVPであるデリック・ローズは、19歳のヘイズに対していくつかのポイントを指摘した。

私はルーキーで、まだこのリーグに来たばかり。彼は近くにいてくれていて、物事の流れを知っている。私はいつも彼に質問しているよ」とヘイズは話した。「練習が終わってからも、ゲームのことやその他どんなことについても話している。彼のような選手が助けてくれるのは間違いなく素晴らしいことだ」。

10シーズン前、22歳だったローズは、リーグ史上最年少でMVPを獲得した。現在32歳となったローズは、バスケットボールにおけるメンターとして、キャリアの新たなステージに入っている

ローズは偉大だ」と、ピストンズのもう一人のルーキー、アイザイア・スチュワートはローズのチームにおける存在感についてこう語った。「彼とはたくさん話をしている。彼の頭の中を紐解こうと、彼にたくさん質問しているんだ。彼は多くの英知を持っているから」。

ローズは12年間のキャリアの中で、多くの浮き沈みを経験してきた。地元のシカゴ・ブルズでの躍進は、彼の名を世間に知らしめた。彼の驚異的な動きは、若い世代にインスピレーションを与えた。しかし、複数のケガや、2013年にローズと2人の友人がローズの元交際相手をレイプしたとして告発された民事訴訟を含む個人的な問題のために、彼の華々しいキャリアはそのレールから外れてしまった。2016年10月、ロサンゼルスの連邦陪審はローズとその友人たちに責任はないと判断した。

過去9シーズン、ローズは5つのチーム(ブルズ、ニックス、キャバリアーズ、ウルブズ、ピストンズ)で合計356試合に出場している。それに対して、キャリアの最初の3年間は246試合中240試合に出場し、3年目にはMVPを獲得していた。

“Derrick Rose is embracing role as NBA vet: ‘You’ve got to adapt’”(THE UNDEFEATED)

最大の『たられば』のレッテルを貼られ、皆から叩かれる。でも私は、異なる物の見方をしているまったく逆の見方をしているんだ。もしそうじゃなかったら、自分自身を傷つけてしまっていて、私は世間の声に洗脳されていただろうね」。

夢を追うことは絶対に悪いことではない。(自分の運命を)憎んでいるわけではないが、私は自分が何者なのかを見極めなければならなかった。私の歩む道は厳しいもので、痛みを伴った。しかし、人は皆それぞれ違っているということを理解する時、私はそれを乗り越えることができた」。

ローズはパンデミックの間、愛する家族と共に時間を過ごしたという。ワークアウトは頻繁に行っていたが、本を読んだり、チェスをしたり、瞑想に時間を費やしたりしていた。

ただ成長することだけを心がけた」と彼は説明した。「パンデミックによって、私は透き通った方法で物事を見ることができるようになった」。

ローズは、シカゴの厳しい地域で生まれ育ったことで、叩き上げのスターになれた一方で、幼少期のトラウマの原因にもなっていることを、長年にわたって認識するようになったと述べている。彼の若い頃は、1986年に20歳で史上最年少でヘビー級チャンピオンになった、ニューヨーク州ブルックリンのブラウンズビル地区出身の殿堂入りボクサー、マイク・タイソンのそれとよく似ている。

そういった環境で育つとき、学校に行くように教えられたりしない。マイクが学校に行くように教えられていなかったと保証できるよ」とローズは語った。「普通の家では、当然学校に行くように教わるだろう。私が今息子にしているようにね。今私は息子に学校に行くようにとしっかり教えている。 実際、彼はちゃんと学校に行っている。でも私は、それとは違う形で生まれ育った。マイクもそうだった。私たちは学校に行くようにと教わってはいなかった。私たちは別の何かを教わっていた。そして、人々は私たちにレッテルを貼る。実際にそうではないのに、そうだというレッテルを貼る。この状況から抜け出そうとすることが、唯一生きる道だった。今何をしているのか、誰も見てくれないんだ」。

ローズは続ける。「でも同時に、学校で教養を身につけ、知性を増していく方法を身につけるようになると、学校で得られないものを失うことにもなる。社交的であることもそう。私は内向的だ。22歳とかになるまで、社交的であることがどういうことか、何もわかっていなかった。20歳そこそこの頃は、部屋の中にいても、人前に出ても、部屋に戻っても、なぜこんなにもエネルギーを消耗してしまうのかと、不思議に思っていた。でも年を重ねて、『ああ、そうだったのか、知らなかっただけなんだ』と理解できたことは祝福だった。すべてを学べたことは、とても幸せなことだった」。

ローズは、昨季50試合に出場し、主にベンチからの出場ながら平均18.1点を奪い、フィールドゴールパーセンテージもキャリアベストの49%を記録した。彼はデトロイトで、「幸せ」が戻ってきたという。

ケイシーは今季もローズを同じ役割で起用する予定で、ローズのことをデトロイトの「秘密兵器」と表現している。また、百戦錬磨のケイシーは、このベテランガードがルーキーのヘイズに彼の持てる知識を伝えていくのを見ることを楽しみにしている。

ヘイズは、デリック・ローズというバスケットボールの歴史の中でも最高の教師の一人が側にいる。彼にとってこの上ないことだ」。

ローズは一方で、キャリアを長く保てていることに謙遜になっている。昨季のバブルでは、デンバー・ナゲッツのガード、ジャマール・マレーがローズの最初のシグネチャーシューズであるアディダスのレトロモデルを履いていた。そして12月5日には、アディダスから11番目のシグネチャーシューズ「D Rose 11」が発売され、同じブランドのシグネチャーシューズを10足以上持つ選手としてリーグ史上8人目となった。それは、レブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、ケビン・デュラント、クリス・ポールと並んで、このマイルストーンを達成した現役選手5人のうちの1人でもある。

“Derrick Rose is embracing role as NBA vet: ‘You’ve got to adapt’”(THE UNDEFEATED)

それは、チームメイトや、自分の背中を押してくれる新しい世代のガードたちへのローズのリスペクトの象徴だ。

適応しなければならない。それが、私がいつもコービーの魂をシューズに込める理由だ」とローズは語る。「コービーは常に適応していた。彼は、その時のゲームがどういったものなのか、若い選手たちがどんなプレイをするのかを常に見ていた。たとえば、「皆、ユーロのプレイをしているのか? よし、それじゃあ私も一歩先に行って、自分のゲームにユーロのプレイを追加しよう」といったものだ。彼は自分のゲームを完全に変えたわけではないが、若い選手たちがゲームに取り入れている小さなピースを自分のゲームに吸収していた。それが、彼が長いキャリアを過ごすことができた方法だ」。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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