ラプターズでスパークプレイを続ける渡邊は日本のバスケブームの加速を期待する

それは、ここまで順風満帆とは言えないシーズンを送っているラプターズが、今季に本拠地を置くタンパで行われたマジック戦の第4クオーターの3分を過ぎた頃だった。

ラプターズが築いた16点のリードをマジックが徐々に崩し始め、8点差まで詰め寄ってきていたタイミングだった。ニコラ・ブセビッチがペイントを切り裂き、バスケットに背を向けてボールをキャッチし、ターンしてダンクを叩き込めば目の前にイージーな2点が待っていると思われた。しかし、そこに渡邊雄太が現れた。

ラプターズの一員として1年目の渡邊は、リング付近でブセビッチと対峙すると、パスカル・シアカムの方向へとボールを叩き返すブロックを決め、ラプターズはそのまま逆速攻につなげて得点を奪った。その後、2桁のリードを保ったまま、ラプターズは13点差の勝利にこぎつけた。

Source: “Raptors’ sparkplug hopes for a basketball boom in Japan”(NBA.com)
@YahooCAsports(Twitter)

注意深く見てきた人であればわかるだろうが、渡邊は彼がフロアに入る時はいつでもスパークプレイという言葉の通りの活躍を見せる。渡邊の数字は、一見すると控えめだ。平均12.7分の出場で、3.9点、3.4リバウンド、1ブロック弱。しかし、渡邊は少しずつラプターズのローテーションに入ってきている。彼はチームを助けるため、体を張って容赦ないディフェンスをすることに完全に恐れがない。そのハッスルがより多くの出場時間への扉を開き、それに伴い彼のオフェンス面での貢献も大きくなっている。

シーズンベストとなる24分の出場で12点を奪った金曜日のサクラメント戦での敗北の後、この日曜日のマジック戦でも11点、3ブロックを記録し、輝きを放った。

彼は常に動き続けている。それは本当に良いことで、私たちのオフェンスを助けてくれる。彼の役割(であり仕事)は、ハードにプレイしつつミスを抑えること。彼はほとんどミスをしない」とラプターズのニック・ナースHCは、日曜日の勝利の後で渡邊について語った。

これはまさに彼の努力の賜物だ。それ以外の何物でもない。彼はまだ無名だから、コーナーで一人でいるチャンスが多いんだ。彼は素晴らしいシュートフォームを持っている。彼は少しずつ成長していて、しっかりとしたプレイをしているが、この1年はずっとより堅実なプレイをしてくれている」。

得点を決めたシーンやハッスルプレイでガッツポーズを見せるたびに、なぜ渡邊というスパーク・オフ・ザ・ベンチ・プレイヤーがあっという間にファンの心をつかんで人気者になれるのかがわか。ラプターズファンは彼のことを知り始めたばかりだが、母国・日本には何年も前からジョージ・ワシントン大学の学生時代から知る熱心なファンがいる。

日本の偉大なアスリートの多くは、野球やサッカーの道に進む。バスケットボールは、日本人がプロでプレイすることを考えた時、おそらく最初の選択肢ではないだろう」と、ワシントン・ウィザーズのサイトで日本に特化したコンテンツを制作しているザック生馬氏は言う。カナダ、アメリカ、日本で活躍してきたバイリンガルの放送ジャーナリストである生馬氏は、ウィザーズが2019年のドラフトで日本代表の八村塁を1巡目9位で指名した後、ウィザーズに採用された。

(NBAは)いつも遠い遠い存在だった。日本の人々は、多くの偉大な選手がメジャーに行って北米でプレイすることに慣れているが、ことNBAに関してはまったくそうではなかった」と彼は語る。

生馬氏は、日本のファンの間では八村選手が注目度の高い選手であるのに対し、渡邊選手はこれまでのキャリアのために、もう少し慎重に見られていたと語る。彼はドラフト外でNBA入りし、メンフィス・グリズリーズとの2-Way契約で過去2シーズンを過ごした。その後、ラプターズの秋のトレーニングキャンプに招待され、スポットを獲得した。今、2-Way契約でプレイする26歳の彼は、NBAでプレイできることを証明している。

“Yuta Watanabe is becoming Raptors’ glue guy off the bench”(The Athletic)

日本のメインメディアは、海外において最高レベルでプレイしているプロエリートの日本人選手を常に見ていると言ってもいいだろう」と生馬氏は話す。

『雄太、今日はユニフォームを着てガベッジタイムを少しプレイしただけだった』という時はもう終わり、今は『彼はローテーションに入り出場時間を得てきている』という時を迎えている。彼は今や、ローテーションの中で20分以上プレイして10点を取る。今、日本ではそういうことが取り上げられている。だから、彼がより大きな役割を担い出場時間が伸びてきたことで、ようやく日本でも彼がテレビに映るようになってきたと思う」。

渡邊はNBAで2番目、八村は3番目の日本人選手であり、彼らは母国で成長を続けるバスケットボール界における聖火ランナーなのだ。

日本のバスケットボール界の成長に大いに貢献していると思う」と、渡邊は1月初旬に、彼自身と八村の影響力について語っている。

多くの子どもたちが、NBAでプレイすることを夢見ている。これは私たちにとって素晴らしいことだと思う。まだまだ私はもっと良い仕事をしなければならない。塁はもうすでに素晴らしいが、私ももっと良い仕事ができると思っている。より多くの人がバスケを見るようになり、バスケが大きくなっていく。そのためには、やるべきことがたくさんある」。

これは、カナダのバスケットボールファンにとって、つまり、長い間ホッケーと野球に情熱を持っていた国のテレビでバスケットボールをもっと見たいと切望していた人たちにとって、身近に感じられるストーリーだろう。

1991年から2010年の間、NBAドラフトで選ばれたカナダ人はわずか8人だった。その間に2つの重要なことが起こった。ビンス・カーターがラプターズでプレイ(1998年~2004年)し、スティーブ・ナッシュが2005年と2006年に2年連続でMVPを獲得したことだ。カナダ人選手に対する彼らが与えた影響力は、2011年から2019年までの間に連続して23人がドラフトで指名されたことに反映されている。12月に今季が開幕した時、計17人のカナダ人選手がNBAのロスターにいた。

日本のバスケットボールの成長はまだ始まったばかりだが、生馬氏は同世代の選手にも可能性があると見ている。彼は今年、東京でオリンピックが無事に開催されることを希望しており、日本の子どもたちが母国が世界の強豪と対戦する姿を見て、どのような影響を与えるかについて思いを巡らせている。彼は八村を日本のスティーブ・ナッシュのように見ており、渡邊のハイエナジーなプレイスタイルはファンにも支持されやすいと考えている。

8年後には、雄太と塁のおかげで、より多くの日本人選手がNBA入りを果たし、実際に高いレベルでプレイしているかもしれない」と生馬氏は言う。また、日本の平均身長ほどの背丈のポイントガードが成功すれば、日本のバスケットボールをより実現可能な選択肢のように思わせることができると付け加えた。

渡邊がコート上でより多くの時間を得て、ラプターズのためにインパクトを与え続けているように、日本のバスケットボール好きの目は八村のハイライトだけを探しているわけではない。

より目の肥えたファンの間では、渡邊がNBAの本契約にアップグレードされるのではないかという話が絶えない」と生馬氏は言う。

そうなれば、日本はクレイジーになる。ファンはずっとそれを望んでいた。渡邊は本当に熱心に取り組んできた。それはすべて小さな、少しずつのステップだった。塁のように、ドラフト指名されて最初から先発になったのとはまったく異なるんだ。ここに来るまでには長い道のりだったんだ」。

彼はナイスガイで、皆が彼を応援している。もし、彼が最終的に、2-Way契約ではない契約(本契約)を得られたたら、日本はおかしくなってしまうだろうね。そう確信しているよ」。■

“Raptors’ sparkplug hopes for a basketball boom in Japan”(NBA.com)
JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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