ラッセル・ウエストブルックがNBAのトリプルダブル・キングになるまで

2009年3月、ダーク・ノビツキー、ジェイソン・キッド、そしてダラス・マーベリックスがオクラホマシティーにやってきた時、サンダーのオクラホマシティーでの最初のシーズンが終わりを迎えようとしていた頃だった。

Source: “How Russell Westbrook became the NBA’s triple-double king”(The Washington Post)

オクラホマシティーはメンフィスで大勝して7連敗を止めたばかりだったが、2カ月で3勝しか挙げられず、ヘッドコーチが解雇された。ケビン・デュラントとジェフ・グリーンは戦列を離れていた。それに比べてダラスは、ウエスタン・カンファレンスの最後のプレイオフの座を守るために戦っていたが、磨き上げられた力強さがあった。

その試合、UCLA出身のルーキー、ラッセル・ウエストブルックは、17点、10アシスト、10リバウンドを記録した。サンダーはマーベリックスの追い上げを振り切り、96-87で勝利を収めた。ラッセル・ウエストブルックが初めてトリプルダブルを達成した試合であり、ダラスのヘッドコーチ、リック・カーライルはその試合が現在のウエストブルックの原点となった試合だと回顧する。


トリプルダブルのキャリア通算回数の上位10選手。太字は現役選手。
181 ラッセル・ウエストブルック、オスカー・ロバートソン ※ウエストブルックは5/10に182に更新、単独首位に。
138 マジック・ジョンソン
107 ジェイソン・キッド
99 レブロン・ジェームス
78 ウィルト・チェンバレン
59 ラリー・バード
58 ジェームス・ハーデン
56 ニコラ・ヨキッチ
43 ファット・レバー
“How Russell Westbrook became the NBA’s triple-double king”(The Washington Post)

カーライルはこの試合について、「我々は地獄のような経験をした。そのような時期(シーズン終盤)に、若いチームの才能ある選手たちが気づくのは、彼らは負けるのが嫌いで、チームの勝利に貢献し、より大きな影響を与える方法を考え出すということだ」と語った。「彼がキャリアの初期にトリプルダブルを多く達成していたかどうかはわからないが、ずっとその種となるような試合はあり、あの試合がまさに彼にとっての種だったのだろう。その後の彼の活躍には目を見張るものがある。言葉にするのは難しい。統計的に、彼が達成したトリプルダブルは、何物よりも影響力のあることだと私は思う」。

2つのフランチャイズを経て13シーズン目を戦っているウエストブルックは現地時間5月8日、インディアナポリスで行われた試合で、オスカー・ロバートソンが持つNBA記録に並ぶ、トリプルダブルの181回目を達成した。このワシントン・ウィザーズのポイントガードにとって、現地時間5月10日のアトランタでの試合が、この記録を破る最初のチャンスとなる(見事達成)。


ラッセル・ウエストブルックのトリプルダブルの数は、過去7シーズンで急増している。
キャリア最初の6シーズンでたった6回の達成だったが、過去7シーズンでは173回も達成している。
最も短い出場時間で達成したトリプルダブルは、2014年3月14日の対シクサーズ戦で、20分間の出場で13点・10リバウンド・14アシストを記録した。
最も+/-が高かったトリプルダブルは、2017年4月9日の対ナゲッツ戦で、50点・16リバウンド・10アシスト、+32.1を記録した。
“How Russell Westbrook became the NBA’s triple-double king”(The Washington Post)

ウエストブルックはまた、キャリアで4回目となるシーズン平均トリプルダブルを達成することになる。4試合を残し、平均22点、11.6リバウンド、11.5アシストを記録しているウエストブルックは、オクラホマシティーで最も充実した時期である2018-19シーズンと2017-18シーズン、そして1982年にヒューストン・ロケッツのセンターであるモーゼス・マローン以来となるフルシーズンで50勝未満のチームから初めてリーグMVPを獲得した2016-17シーズンと並んで、ウィザーズでの1年目を締めくくる。


トリプルダブルを達成した試合での成績は、24.7点・12.8リバウンド・12.9アシスト。
ウエストブルックはNBAの全チームに対して最低2回以上のトリプルダブルを記録している。最多はペイサーズの10回。
“How Russell Westbrook became the NBA’s triple-double king”(The Washington Post)

ウエストブルックのような経歴を持つ選手は、長い間称賛されてきているように思える。しかし、バスケットボールファンやコメンテーターの間では、ウエストブルックの特徴的なスタッツの価値については議論が続いている。多くの人は、彼のトリプルダブルがあまりにも日常的で、無意味なものになっていると考えている。

それに加え、32歳にしては不機嫌な態度、シューターとしての効率の悪さ、そして何よりも致命的なのは、スタッツを裏付けるリーグタイトルがないことだ。今季、ウエストブルックが歴史に名を残すまでの道のりを語るうえで、1つの疑問が浮かび上がった。バスケットボールファンは、ラッセル・ウエストブルックを当たり前の存在だと思っているのか?

12回のオールスターポイントガードであるアイザイア・トーマスは、最近の電話インタビューで、「私はこの点においては100点満点だろう」と言った。「(タイトルを獲得できないことで)ラスを責められない。彼は、プレイヤーが試合でもたらすべきものをもたらし続けてきたし、それ以上のものをもたらしてきた。ミルウォーキーは、オスカー・ロバートソンがチャンピオンになれるようにと、カリーム・アブドゥル・ジャバー(当時のルー・アルシンダー)を獲得した。彼はカリームなしでは優勝できなかった。マジック・ジョンソンもカリームなしでは優勝できなかった」。

1981年から1994年までプレイし、デトロイトで2度の優勝を果たして殿堂入りしたトーマスは、多くの選手、コーチ、解説者がウエストブルックの偉業をどのように評価しているかを、まさに「極めて重要な快挙」としてまとめた。それに一切の議論の余地はない。

“How Russell Westbrook became the NBA’s triple-double king”(The Washington Post)

トーマスは、ウエストブルックの希少性を評価すべきものとして強調した。NBAでは、キャリア記録はほとんど破られない。18シーズンを終えたレブロン・ジェームスは、アブドゥル・ジャバーとカール・マローンに次ぐ3位で、現役選手では唯一トップ5に入っている。ステフィン・カリーは、150本以上のスリーポイントを決めればレイ・アレンの記録を破る。キャリアリバウンド数では、ウィルト・チェンバレン、ビル・ラッセル、モーゼス・マローン、アブドゥル・ジャバーが上位を占めており、レジェンドのみとなっている。

トーマスは「NBAに入って『ゲーム史に足跡を残した』と言える人は数少ない」と語る。「そして、ウエストブルックは『ゲーム史に足跡を残した』と言ってNBAを去っていけるだろう。ラスがしてきたこと、そして今ラスがしていることは、個人的な観点から言えば、それらは歴史の中で常に存在する指標になっていくだろう」。

ウェストブルックは、その記録を少しずつ更新してきた。

ロバートソンの記録に迫っていくには、13シーズン近くも驚異的な数字を積み重ねる必要があった。しかし、土曜日を迎える頃には、ガードが現代のゲームにおいてトリプルダブル・キングとしての地位を確立していた。ウエストブルックは記録更新が見えてくると、彼らしく猛烈なスピードでそれに向かって走り出した。

開幕時に大腿四頭筋を痛め苦しんでいたウエストブルックだが、3月に14試合で7回のトリプルダブルを達成した。その後、4月には17試合で14回のトリプルダブルを達成し、1968年にチェンバレンが打ち立てた記録を更新した。

このプッシュは、彼の仲間たちが最もよく強調する2つのことを象徴している。それは、ウエストブルックの並外れた運動能力、特にリム周りでの運動能力と、揺るぎない強さです。

メンフィス・グリズリーズのポイントガードであるジャ・モラントは、「ラスは特別な選手であり、唯一無二の存在だ」と語る。「彼は4シーズン目の平均トリプルダブルを達成したが、これが評価されないはずがない。それは、このリーグでは難しいこと。彼が外部の雑音をあまり気にしていないことは知っているが、人々が彼に敬意を払うべき時が来たんだ」。

ウィザーズのチームメイトで、ウエストブルックと高校時代からの付き合いがあるポイントガードのイシュ・スミスは、「私がラスに伝えているちょっとした秘密を教えよう。彼は『モノが違う』んだ。ラスは毎晩、120%、130%、150%、200%の力を発揮してくれる。ディフェンス面、オフェンス面、リバウンド、そしてゲームのあらゆる面で。私が彼について好きなのは、彼にとって意志のゲームのようなものになっているところだ。『俺はお前より長生きするんだ』ってね」。

また、スミスは、ウエストブルックのスタッツ獲得がチーム全体の成功にほとんど影響しないと言う人たちに対して、彼がトリプルダブルを記録した試合の成績は136勝45敗であることを指摘した。特に今季は、ウィザーズがシーズン終盤にイースタンカンファレンスのプレイイントーナメントに進出のための追い上げにウエストブルックが中心的なエンジンとなっているため、この議論はよく当てはまる。

トリプルダブルは決して簡単なんかじゃない。簡単じゃないんだ」と、4月にリーグの月間トリプルダブル記録を達成した直後、ウエストブルックは語った。「簡単なことじゃない。だから、私は試合の夜に休んだりなんかしない。ゲームをごまかしたりはしない」。

ウエストブルックは、長年にわたって驚くほど安定してトリプルダブルを達成してきた。特に、190cmの彼が、身長が15cmも高いフォワードやセンターを抑えてリバウンドを取らなければならないことを考えるとなおさらだ。2016-17シーズンのトリプルダブル42回はシングルシーズンの記録ですが、2014-15シーズン以降、フルシーズンで記録した最も少ない回数は11回だ。

2009年3月に行われたあの試合から、彼がこの地位を確立するまでには5年の歳月を要した。当時、APに掲載された20歳のウエストブルックが自身のトリプルダブル達成に対して下した評価は、簡潔なものだった。

特に勝利した時には気分が良いね。積極的なプレイを続けていれば、次のトリプルダブルも達成できると思う。きっとね」。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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