ヒートがほぼ出場しない40歳のベテランに2.5億円を支払う理由

木曜日(日本時間5月16日)、マイアミ・ヒートは今シーズン初めてユドニス・ハスレムを起用した。彼はわずか3分の出場の後、退場となった。

Source: “The Heat pay a 40-year-old veteran $2.5 million even though he never plays, and players think more teams should do it”(Business Insider)

なぜヒートがハスレムを起用するのか、疑問に思うのは当然だろう。40歳で18年目のシーズンを迎えたハスレムは、過去3年間で15試合、過去6年間で45試合にしか出場していない。

ハスレムは近年、チームに残るために1年のベテラン・ミニマム契約を結んでおり、今シーズンは250万ドル(約2億5,000万円)を稼ぐ。ヒートはおそらく、彼の役割や彼が得ているサラリーを、コート上でより多くの貢献ができる別の選手に与えることもできるかもしれない。

この意見に、ヒート以上に反対するチームはないだろう。ヒートのメンバーは、ハスレムのメンターとしての役割とロッカールームでの安定した存在感を、NBAの発展途上の有望株から得られるどんな貢献よりも高く評価しているのだ。

ヒートのヘッドコーチであるエリック・スポエルストラは、木曜日に記者に対し、「この建物の中にいる誰もが知っていることだが、ロッカールームで彼が持つ影響力の大きさは最も重要なものになっている」と語った。「ロッカールームでリーダーを育て、我々にとって意味のある文化を教え、養ってくれている。彼はただ叫ぶのではない。腕まくりをし、ヒートの文化の中で次のリーダーたちを育てており、私はその仕事をアメイジングだと考えている」。

“Heat’s Udonis Haslem ejected after 3 minutes, altercation with Dwight Howard”(The Athletic)

ハスレムの退場を「今シーズンで一番好きな瞬間」と語ったスポールストラは、ハスレムが若い選手やベテラン選手に永続的な影響を与えていると語った。

私は、彼がこのような指導をするようになるまで、私は楽しみながら見てきた。それは若い選手たちにも伝わっている。若い選手はこの先のキャリアでずっとハスレムのことを忘れないだろうが、私にとってはベテラン選手にも同じくらいの影響を与えている。成長させ、安定させ、進化させ続ける。彼の信じられない指導は、ロッカールームの誰にでも、そしてスタッフにも届く」。

元NBA選手のビッグマン、チャニング・フライは先日、JJ・レディックのポッドキャスト「The Old Man and the Three」で、チームがハスレムのようなベテラン、つまり「シートベルト」を必要とする理由を説明した。

本当に高価なフェラーリのシートベルトは過小評価される」とフライは言う。「誰もフェラーリのシートベルトを気にしたりなんかしないが、ユドニス・ハスレムは何かあった時のシートベルトだ。何かおかしなことが起こった時、彼はそれを止める。彼は、ジミー・バトラーやビクター・オラディポがおかしな行動をしそうになった時、彼らをシートに戻して、車がレールから外れないようにつなぐ役割を果たしているんだ」と述べている。

さらにフライは、「若い選手の耳元で『それは間違っているぞ』と言える人間が必要だ」と付け加えた。レディックもそれに同意し、ふさわしく尊敬される声がチームをまとめることができると語った。

これまでのキャリアで何度も見てきたことだが、多くの才能があってもピースが必ずしも合うとは限らない」とレディックは話す。「スキルセットが合わなかったり、性格が合わなかったり。リーグ全体を見渡しても、そういったことが起きている。全員をまとめる1人か2人の男がいなければ、最高レベルの勝利を手にすることはできない」。

NBAの殿堂入りを果たしたケビン・ガーネットは、著書「KG: A to Z」の中で、「OGs」という存在にチームが耳を傾ける必要があると書いている。(「OGs」はジミー・バトラーがハスレムを呼ぶのと同じニックネーム。)ガーネットは次のように記している。(「Basketball Network」参照)

知識だ。誰もその選択肢があることを知らなかった。リーグにはこのような小さく微細な、形のない財産があることを誰も知らなかった。知識のある者だけがそれを知っていた。探している者だけが知っている。それを得るためには、NBAのネットワークを活用しなければならない。OGsと話すのはそのためだ。OGがあなたのロッカールームにいるのはそのためだ。そうすることで、より良くなる。より良い人と一緒にいることで、より良いことができる」。

“The Heat pay a 40-year-old veteran $2.5 million even though he never plays, and players think more teams should do it”(Business Insider)

ハスレムは、いつもベンチの端っこでチームメイトを指導し、お金を稼いでいたわけではない。

マイアミ出身のハスレムは、フロリダ大学でプレイした後、ドラフトにかからなかった。フランスのプロチームで1シーズンプレイした後、ワークアウトで目覚ましい活躍を見せてスカウトの目に留まり、NBA入りを果たした。

ヒートでの最初のシーズン、彼の年俸は366,931ドル(約3,700万円)だったが、平均で23分の出場、7点、6リバウンドを記録した。

ハスレムは、それ以来ずっとヒートに所属している。優勝した2006年には80試合に先発出場し、レブロン・ジェームス/ドウェイン・ウェイド/クリス・ボッシュのBIG3の時代には一貫性のあるロールプレイヤーとして安定した活躍を見せた。

彼はこの街の出身だが、誰も彼にチャンスを与えなかったし、何も与えなかった」とボッシュはThe Ringerのアンドリュー・シャープに語っている。「彼はチームに入ると、ロスタースポットを得るのに十分な力を発揮し、今ではフロリダで見たこともないような偉大なアスリートの一人になったんだ」。

彼は組織のことしか考えていない。彼は組織のため、街のために尽くしている」とウェイドはシャープに語った。「そして今でも、彼の声はこれまでと同じように大きいんだ。クレイジーだよ。ほとんどプレイしていない人が、そのような影響力を持っているなんて。でも、彼は尊敬されている。彼は皆にそのような影響を与えている。UDが嫌いだという人間は、どこかおかしいんだよ」。

ヒートのオールスターセンターであるバム・アデバヨはシャープに、ハスレムが自分を指導してくれて、熱心に取り組むこと、アグレッシブであることを教えてくれたと語った。

元ヒートのフォワードで、現在はポートランド・トレイルブレイザーズに所属するデリック・ジョーンズは、シャープに「ハスレムは自身の経験を通して尊敬を集めた」と話した。

バスケットボールの観点からだけでなくね」と彼は言う。「彼は私を受け入れてくれた。彼は自分の仕事に専念している。彼と座って話をして、彼の人生観を見ただけで、私にとって大きな助けになった。私はまだ若輩者だが、バスケットボールの後には何かをしなければならない。彼が時間を割いて私を助けてくれたことは、私にとって思い入れの深いことなのさ」。

ハスレムは、木曜日に記者に対し、引退についてはまだ決めていないと語った。「もしこの試合が自分にとっての最後の試合になるとしたら、良い形で終えられたと思う」。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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