ペリカンズの育成の舞台裏:コーリー・ブリュワーがNBAコーチとしての1年目を振り返る

13年のNBAキャリアを経て、オフシーズンにコーチへの転身を果たし、選手育成コーチとしてニューオーリンズ・ペリカンズに加わったコーリー・ブリュワー。彼は、NBAコーチとしての初めてのシーズンと、ペリカンズのヤングコアとの取り組みについて、この記事を書いている。

Source: “Inside the Pelicans’ development: Reflecting on my first year as an NBA coach”(BasketballNews.com)
“Pelicans announce 2020-21 coaching staff”(NBA.com)

選手としてのキャリアを終える準備はできていなかったが、昨シーズン、ニューオーリンズ・ペリカンズの選手育成コーチとしてスタン・バン・ガンディーのスタッフに加わる機会を与えられた時、この貴重な機会を逃す手はなかった。私はずっとコーチになりたいと思っていたし、ニューオーリンズで腕を磨くことになるとは想像もしていなかったが、こうしてここにいることができている。

1年目のシーズンを終え、多くのことを学んだ。細やかさの達人とも呼べるスタンから学ぶ機会を得られたことは幸運だったと思う。私はリーグで13年間プレイし、ケビン・マクヘイル、ジョージ・カール、リック・アデルマン、マイク・ダントーニといった優れたコーチたちと出会った。私は彼らから多くのことを学び、彼らの教えとスタンから学んだことを融合させることができた。このリーグで効果的なヘッドコーチになるためには、たゆまない努力と献身が必要だと思う。

ニューオーリンズには才能豊かな若い選手が多くおり、可能性は無限大だ。私はコーチングスタッフとして最初のシーズンだが、2020-21シーズンはこれまでに見たことのないような1年だったと思う。私は選手として、練習をコーチと共に取り組む機会や、チームメイトの傾向を学ぶ機会として捉えていた。今季は、練習時間がかなり限られていた。

しかしながら、面白いことに、共に取り組んだ何人かの選手は私の元チームメイトだったので、それは私にアドバンテージを与えてくれたと思う。ロサンゼルスではブランドン・イングラム、ロンゾ・ボール、ジョシュ・ハートと、オクラホマシティーではスティーブン・アダムスと一緒にプレイした。彼らとの信頼関係や親密さはすでに存在していたので、それが役に立ったということは間違いない。

ザイオン・ウィリアムソンの側にいることも助けになった。彼のような男と一緒にいると、興奮しないわけがない。毎日、彼の側にいなければ、彼の良さを本当の意味で理解することはできない。彼は本当に信じられない男だ。

他の選手については、B.I.はオールスター候補で、ロンゾは最高のシーズンを過ごしたばかり。ジョッシュは毎日良くなっている。 ニッケル・アレクサンダー・ウォーカー、カイラ・ルイス・ジュニア、ジャクソン・ヘイズは、このリーグで長く生産的な未来を歩むことになるだろう。彼らの成功に少しでも貢献できたことをとても嬉しく思う。

私は選手育成コーチとして、彼らと一緒に取り組む中で、彼らの可能性を最大限に引き出すサポートをしてきた。シュート、パス、ボールハンドリングなど、ゲームにおけるあらゆる面で「OK」や「Good」から「Excellent」になることを目標にしている。

改善のためには、シーズン中だけでなく、オフシーズンにも多くの努力が必要だ。だから、私たちは一日一日を大切にし、ベストを尽くすことを心がけている。私たちはいくつかの目覚ましい進歩を遂げてきた。

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“Inside the Pelicans’ development: Reflecting on my first year as an NBA coach”(BasketballNews.com)

■ ザイオン・ウィリアムソン

ザイオンは本当に努力を惜しまない。彼は山ほどシュートの練習をしているし、とても勤勉で、本当に一生懸命だ。バスケットへのアタックやフィジカルの強さは既に素晴らしいものがあるから、次のステップとしては、ミドルレンジをもっと増やして、スリーポイントを伸ばしていくことだ。彼がそこで安定したプレイができるようになれば、彼とチームメイトにとって飛躍のチャンスとなるだろう。そして、彼は文字通り止められない選手になる。

彼の信じられないところは、これだけ長い間注目されているにもかかわらず、とても謙虚であるという事実だ。彼は本当に偉大なプレイヤーになりたいと思っているし、そのための努力を惜しまない。彼のことを知らなければ、彼がこれほど長く有名になっている本当の意味を知ることはできない。

彼がこれまでの経験や達成したことに満足していないことが伝わってくる。彼は、自分のキャリアがまだ始まったばかりであるかのように取り組んでおり、それがとても新鮮だ。その前向きな姿勢に、これまでにないサイズと運動能力の組み合わさったら、それは恐ろしいものだ。

彼は唯一無二の存在だ。彼のような男は今まで見たことがない。しかし、こういった彼の素晴らしさの中で最も素晴らしいのは、彼が満足していないことなんだ。

“Inside the Pelicans’ development: Reflecting on my first year as an NBA coach”(BasketballNews.com)

■ ブランドン・イングラム

ブランドンは試合ごとに成長している。まだ弱冠23歳だが、若い選手にしては集中力が信じられない。ザイオンと共に、ニューオーリンズを今後何年にもわたって強豪に押し上げるだろう。ブランドン自身も、長い間、このリーグのトッププレイヤーの一人として活躍してくれることだろう。彼について最も心強い点は、個人的に注目され、称賛されるようになってもなお、彼のフォーカスが常にチームをより良くするために何を改善すべきかに向けられていることだ。

とどのつまり、彼はチームが次のレベルに到達するためには、自分が向上し続ける必要があることを理解しており、それが彼の優先事項なんだ。私たちは一緒に、彼がより速く判断し、自らのスポットに入り、ディフェンスにどのように対抗するかを学んできた。彼は、もはや秘密などない。他のチームは、ディフェンスのゲームプランを彼を中心としに組み立てている彼の適応する能力とカバーリングの読み術を学ぶ能力が、彼の生産性を維持し、チームが毎晩競争していくのを助けることにつながっている

彼とザイオンは、多くのチームが持っていない若いオールスターのワンツーパンチを提供してくれている。私たちはそれに感謝している。

“Lonzo Ball ‘would love’ to return to Pelicans in free agency and Zion Williamson agrees: ‘I hope he stays’”(CBS Sports)

■ ロンゾ・ボール

ロンゾに望んでいることがあるとすれば、それはシュートを増やすことだ。アシスタントコーチのフレッド・ヴィンソンは、ロンゾのシュートは非常に進歩しており、特にヴィンソンはロンゾと一緒に取り組んできたことを誇りに思っている。その上達ぶりには目を見張るものがある。ロンゾと話すときにいつも言うのは、もっとアグレッシブになって、相手のディフェンスを混乱させることだ。彼はリーグの中でも効果的なスコアラーになるための全てのツールを持っているが、彼は積極的にパスを出すので、時には少し消極的な印象を与えることもある

しかし今季は、シュートだけでなく、さまざまなスピードでプレイし、フロアを見渡す能力を身につけたことで、大きく前進した。彼は新進気鋭のフロアジェネラルといったところだ。

結局のところ、ロンゾがアグレッシブになればなるほど、チームもよりアグレッシブになり、それは私たちにとってプラスになる。ロンゾのゲームは、ザイオンとB.I.にぴったりなので、この3人がいれば本当に良いチームになるチャンスがあると思う。ワクワクするよ!

ロンゾとはロサンゼルスで一緒にプレイする機会があったが、あれから彼のシュートは大きく進化した。彼は自分自身のペースでゲームを進め、他の人に何かを強いたりもしない。忍耐力とアグレッシブさのバランスを取ることが重要だが、彼は俯瞰して全体を捉えられる、真の意味で優れたポイントガードの資質を備えている

“Inside the Pelicans’ development: Reflecting on my first year as an NBA coach”(BasketballNews.com)

■ ジョッシュ・ハート

B.I.やロンゾと同じように、ロスで一緒にプレイしたこともあるし、ジョッシュのフィルムはたくさん見てきた。

ブランドンやザイオンと一緒にプレイする時は、彼らに注目が集まるので、オフボールの動きができ、良いカッティングができるプレイヤーになることが必要だ。それが、彼が簡単に点を奪えるようになるための最大のポイントだと思うし、私たちのフィルムスタディーでもその点を重視している。

ジョッシュは、現在のNBAの中でも、最もリバウンドの良いガードだと思うし、ジャンプシュートも日増しに良くなっている。彼は、コートの両端で私たちが与える指示を非常によく受け入れているし、ディフェンス面では1番から4番まで効果的に守ることができる。また、良いボールハンドラーでもあり、総合的に非常に多才な選手だ。文字通り、リーグのどのチームに行っても活躍できる選手だが、私はチームに彼がいることに満足している。

“Nickeil Alexander-Walker Living The NBA Dream While Learning The Ropes With New Orleans Pelicans”(Forbes)

■ ニッケル・アレクサンダー・ウォーカー

ニッケルは、これから何年にも渡って、リーグの中で大きな得点源となるガードに進化するだろう。彼は、他の選手のように注目されてはいないかもしれないが、彼は必ず成功すると保証するよ。彼のゲームには多くの要素が含まれており、まだ自分の強みを見つけ出そうとしている最中ではあるが、彼は本当に危険なプレイヤーになると思うよ。

今季の序盤には、ロサンゼルスで戦ったクリッパーズ戦で37点を挙げたから、そのポテンシャルは十分にある。他にも何度かビッグゲームを経験しているので、彼の将来はとても明るいと言えるだろう。今のところ、ミドルレンジのゲームが得意で、フィニッシュがさらに向上してくれば、彼を止めるのはとても難しくなるだろう

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コーチになってすぐに分かったのは、コーチがどれだけ大変な仕事をしなければならないかということだ。文字通り、24時間体制なんだ。ニューオーリンズでは、選手一人一人に個別の育成計画を立て、具体的に取り組むべきことを伝えている。そのためには、選手のゲームフィルムを長時間見て、長所と短所をきちんと分析しなければならない。私たちはチームを助けるため、それぞれの選手のゲームを熟知していなければならない。

コーチングに冗談は一切ないことを身をもって知ったが、このような光輝く明るい未来を持つ組織の一員であることに心から感謝している。

1年が過ぎたけど、これからもずっと続いていくようにと願っているよ。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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