「再びヘッドコーチの職に就きたい」と熱望するジェイソン・キッド

ロサンゼルス・レイカーズのアシスタントコーチ、ジェイソン・キッドが、自身のキャリアにおける希望とチームのタイトルチャンスについて語った。

Source: “Jason Kidd on being an NBA head coach: ‘I would love to have another opportunity’”(The Undefeated)

ジェイソン・キッドが、過去に戻ってNBAのヘッドコーチだった頃の自分に語りかけることができるとしたら、彼はこう言っただろうと考えている。「リラックスしようか」。

リラックスして、チームの成長を楽しもうじゃないか」と、キッドは言う。「一人一人の選手の成長を楽しもう。そして、あまり一生懸命になりすぎず、彼らに完璧であることを求めるようなことはしないように…」。

ミルウォーキーやブルックリンで得た最も大きなことは、もっと違うメッセージの伝え方ができたのかもしれないということ。それほどハードにいきすぎない。それほどラフにいきすぎない。もうちょっと楽しんでも良いんじゃないかということ。競争者として、『チームが勝つために何ができる?』ということに没頭しすぎてしまうと、聞こえてくるのは『ただ勝ちたいだけなんだ』ということだけになってしまう。楽しさは一体どこにあるのか? こういったことを追い求めながら、楽しもうじゃないか。プレイヤーとして優勝を目指したが、今はコーチとして優勝を目指している。しかし、自分が追い求めているものとは異なる環境の異なる部分もあるものなんだ」。

キッドは、NBAの歴史の中でも最も偉大なポイントガードの一人だ。19年の選手生活を通して、12,091アシスト、10回のオールスター出場を遂げ、そしてダラス・マーベリックスで優勝を果たした。2018年には殿堂入りも果たした。

選手としてのキャリアを終えたキッドは、殿堂入りを果たしたケビン・ガーネットやポール・ピアースがプレイしていたブルックリン・ネッツのコーチを務めた。2013-14シーズンには、44勝38敗という好成績を収め、プレイオフに進出した。翌シーズン、キッドはミルウォーキーに移籍し、2014年から2018年までヤニス・アデトクンボとバックスを指導した。139勝152敗の成績を挙げ、プレイオフに1回だけ出場した後、解任された。

その後、コービー・ブライアントの助けを得て、キッドは2019年にフランク・ボーゲルヘッドコーチの下、レイカーズでアシスタントコーチの仕事を得ることができた。キッドは、2019-20シーズンにレブロン・ジェームスとアンソニー・デイビスを擁してNBAチャンピオンシップを獲得したレイカーズのコーチングスタッフの一員だった。

キッドはThe Undefeatedに、再びNBAのヘッドコーチになることへの希望、現在のレイカーズに対する自身の考え、そして、ブライアントにインスパイアされて始めたAAUの女子バスケットボールプログラムなどについて語った。

ボーゲルから学んだことは何? そして、かつてのヘッドコーチとしての経験から学んだことで、将来より良いヘッドコーチになるためのポイントは?

失敗から学ぶこと。完璧な人間は誰一人いない。賢い人々に囲まれて過ごすことだ。私が学んだもう一つのことは、良い聞き手になって、与えられた情報をフィルターにかけること。ただ「ノー」と言ったり守りに入ったりせず、その情報を使ったり選択肢に入れること。素晴らしいアイデアをもらっても、『それを使う準備ができていない』と言ってしまうようなこともある。アシスタントコーチにしてみれば、「あいつは俺の意見を全く聞かない」と思われるかもしれない。今の私なら、「言いたいことは分かる。やりたいと感じたが、今じゃない」と言う。そうすると、「彼は私の話を聞いてくれた、今すぐには使わないかもしれないが、いずれ使ってくれるだろう」ということになる。

私がフランクから学んだ最も大きなことの一つは、彼が素晴らしい聞き手であり、優れたコミュニケーターであるということ。彼はよく耳を傾ける。彼はあなたに「今はできない。今それをすることには抵抗がある』と言ってくれる。それは「それはダメだ」「それはおかしい」と言うのとは大きく違うんだ」。

“Jason Kidd on being an NBA head coach: ‘I would love to have another opportunity’”(The Undefeated)

ヘッドコーチじゃなくて一番寂しいことは何?

チェスの駒を動かすこと。自分の目で見て、それをフロアの選手とコミュニケーションできること。そして、彼らがそれを受け止めて実行し、成功を収めるのを見ること。最高なのは、彼らが笑顔になったり、あるいは、「どうやって知ったんだ」と考えているのを見たりすることだ。時々、私が選手としてプレイしていたことが忘れられてしまうこともあるみたいだ。

もう一つは、選手の成長だ。シーズンの初めに彼らを見て、彼らがシーズンを経てより良くなっていくのを見て、さらに多くを欲しがるようになるのを見る。それが本当に恋しく思っているよ。

次のヘッドコーチの機会を得る時まで、あとどのくらいだと思う?

近いことを願っているよ。次の機会があれば良いなと心から思っている。ここでフランクと一緒にいて、彼の強みを理解し、彼が異なるさまざまな状況にどう対処するかを見てきたことが、私が学んだ大きな鍵となっている。皆の立場を理解するためには、忍耐とコミュニケーションが非常に重要だ。それは、トッププレイヤーだけでなく、ベンチの端にいる選手もだ。

再びヘッドコーチになることは、あなたにとってどれほどの意味がある?

スターになりたいと望んでいる選手を助けられると心から信じているから、それは素晴らしいことだと思う。私は、選手としてほぼ全ての席に座ってきた。オールスターにも出場したし、MVPの候補にもなった。年を重ねるごとに、私はベンチでプレイするようになった。そして、キャリアの最後には、もうガソリンが残っていない中でベンチの端でプレイした。ウッディ(ニューヨーク・ニックスの元ヘッドコーチであるマイク・ウッドソン)に、『フロアではあまり助けられないけど、ベンチの端でなら助けられるよ』と言ったんだ。私の経験は、スター選手だけでなく、ロールプレイヤーも助けられる。だから私は、組織の中でそれができると信じているんだ。

元センターのジェイソン・コリンズは、2013年のフリーエージェントで、自身がゲイであることをカミングアウトしたためにさまざまなチームから敬遠されていたが、あなたがヘッドコーチを務めていた2013-14シーズンにネッツと契約するのをあなたが助けてくれたと最近話してくれた。コリンズは、あなたが自分にその機会を与えてくれたことを決して忘れないと言っている。そのことについて何か覚えている?

チームメイトとして、「ツイン」(コリンズのニックネーム)は自分の役割を果たしていたから、常に尊敬していた。彼は私にリバウンドを取らせてくれ、実際に私を助けてくれた。それに加えて、私がヘッドコーチになった時、負傷者が出ていたので、チームを助けられるビッグネームを探そうとしていた。そしてすぐにジェイソンを思い浮かべた。一緒にプレイしたこともあり、彼のバスケットボールIQは高く、戦い方をよく知っていて、自分に与えられた役割を果たせると思ったんだ。彼がしようとすることは、多くもなく、また少なくもない。彼は、自分に与えられた役割を高いレベルで果たせる男なんだ。

そして、みんなが理解してくれた。誰も、セクシャリティーについて考えたことはなかった。どちらかというと、彼が助けてくれるかどうかが重要だったんだ。ケビン・ガーネットは「彼はすべてのファウルを使うつもりだ」と言っていた。皆が彼のことを尊重していた。バスケットボール選手であること以外のことは一切考えていなかったよ。

“Nets to sign Jason Collins for remainder of season”(New York Daily News)

大学からヘッドコーチの打診を受けたことはある? もし、ふさわしい大学があなたにコンタクトしてきたら、あなたは耳を傾ける?

今のところない。絶対にないとは言い切れないかな。私は8月に英語専攻の学位を取得する。私はフェニックス大学を卒業したんだ。8月に学位を取得するので、それはチェック済みと言える。もし、興味を持ってくれる大学があれば、絶対とは言い切れないが、今はフォーカスしているよ。

なぜ、学位を取得することが重要だった?

一つは、子どもたちに教育の重要性を伝えようと思っても、「あなたは大学を卒業していないじゃないか」と言われてしまうからだ。そのために、学位を取得した。私は自分の子どもだけでなく、自分が関わっている若者たちにも教育の重要性を話している。学校がいかに重要か、大学教育を受けることがいかに重要か。「じゃあ、あなたは持っているの?」と聞枯れたら、私は「いいや、持っていない」と答えなければならない。その問答は避けたいんだ。今まで、学校に行くことがいかに大切かをいつも語っている時、誰も『卒業ししているの?』とは聞いてきたことはないけどね。

だから、8月にそれを言えるようになるのは、子どもたちにとっても、私が関わっている子どもたちにとっても、大きな成果だ。今、私は自信を持って「教育は重要だ」と言えるんだ。私は学位を取得した。どれだけ時間がかかっても良い。これは、オリンピックのメダルやNBAチャンピオンと同じように重要なものだと思う。

出身地であるサンフランシスコ・ベイエリアで女子バスケットボールのAAUプログラムを始めようと思ったきっかけは何?

悲劇の中にも、時には光が差し込むことがある。残念ながらコービー・ブライアントが亡くなってしまったが、彼が女性のためにしたことを考えてみた。彼は、自分の娘のためだけではなく、女性のスポーツに光を当て、その重要性を伝えたんだ。私は彼にただただ畏敬の念を抱いた。彼がしていたことは、とても素晴らしいことだった。しかし、残念ながら彼が亡くなってしまった今、誰がその光を灯し続けてくれるのか? 私がもっと大きな光をもたらすことができるとは言えないが、その光を残し続けたいんだ。そして、若い女性に向けたバスケットボールプログラムを持つというアイデアが出てきたんだ。それがベイエリアで実現し、軌道に乗ってきた。

“Jason Kidd on being an NBA head coach: ‘I would love to have another opportunity’”(The Undefeated)

AAUプログラムの立ち上げに加えて、故郷のオークランドで何かやりたいことはある?

一つのアイデアとして、オークランド(カリフォルニア州)の何人かの人々と学校を作ることについて話をしようと思っている。レブロンとは、彼の(オハイオ州アクロンにある)「I Promise School」について話をし、実行して成功している人の青写真を理解した。名前については、まだ決まっていないが、「Bill Russell Academy」にしたいと思っている。ビル・ラッセルの物語はオークランドの家族には語られていないと思うので、公立学校にしたいと思う。それは、ビル・ラッセルに光を当て、彼が私たちのためにしてくれたことに感謝するためのアイデアの一つだ。もし、市に働きかけて彼の名を冠した通りを作り、さらに彼の人生の哲学を学校に捧げることができれば、双方にメリットがあると思う。彼はアイコン的存在だ。単なるバスケットボールのスターではなく、彼のストーリーは語られなければならない。

コービー・ブライアントから何を学び、彼の死はあなたにどのような影響を与えた?

1つ目は、バスケットボールの後、映画業界で彼が行ったことから学べるのは、不可能はないということだ。バスケットボール選手がビジネスの世界に転身しても、彼の仕事に取り組む姿勢は変わらない。

年を重ねるごとに、偉大な人々は何らかの理由で若くして亡くなるということが分かってきた。歴史を振り返ると、優れた能力を持ちながら亡くなった若者がたくさんいた。コービーを見てみると、亡くなるには若すぎたが、彼が女子バスケットボールで行っていたことは、私たちの多くがその火を灯し続けることができる。それは重要なトーチだ。一人ではできない。チームでなければならない。女子バスケットボールや女子スポーツには、少しずつ光が差し込んできているのが分かる。私たちはそれを輝かせ続けなければならない。

長く競い合ってきたレイカーズの組織に、コーチとして参加することになったのはどんな気持ちだった?

子どもの頃、私はマジック(・ジョンソン)のファンだったので、常にレイカーズのファンだった。そして今、かつて彼らとファイナルで対戦し、彼らがチャンピオンになるのを見て、また、2011年には彼らを倒す機会を得たが、今はこうして反対にここでコーチをしているというのは、なんだかとてもクールだ。私はカリフォルニアに戻ってきた。私はカリフォルニアで育った子どもで、最も歴史のあるスポーツフランチャイズの一つについて話しているわけだから、とても楽しいよ。

レブロン・ジェームスをコーチして何を学んだ?

彼は天才だ。彼のバスケットボールIQは桁外れだったよ。彼の仕事に対する姿勢は、彼の天才性と一致している。彼の勝利に対する欲は強く、彼はまだハングリーだ。これだけ長い間やっていて、史上最高の選手の一人であるにもかかわらず、彼は欲を持って仕事に臨み、勝利に飢えている。

アンソニー・デイビスのコーチングはどのようなもの?

彼はとても才能に溢れている。コートの上でもコートの外でも、彼は信じられないような男だ。対戦相手としてのアンソニー・デイビスの才能は知っているが、一人の人間としてのデイビスを見ても、本当に信じられないような男だ。楽しいんだ。彼はゴルフを習っていて、ゴルフの試合にも出ている。彼は良い青年だよ。

“Jason Kidd on being an NBA head coach: ‘I would love to have another opportunity’”(The Undefeated)

レイカーズが連覇を果たすための鍵は?

健康であることと、全員が勝利に貢献していることを理解していること。平均的な出場時間や平均的な得点は得られない選手もいるかもしれないが、フロアにいる間は自分の役割を果たしていることを皆が理解しているし、それが真のチームの証だと思う。もし皆が犠牲を払うことができれば、私たちは優勝できると思う。

2011年にダラス・マーベリックスで選手として、昨季はレイカーズのコーチとしてNBAチャンピオンに輝いたね。選手としてリングを手にすることと、コーチとしてリングを手にすることの違いは何?

同じかなって思うよ。面白いよね。選手からすれば、コーチを見て「コーチはシュートを打っていない。汗もかいていない」と思う。でも、汗をかいていないというのは事実ではない。コーチは常に汗をかいているんだ。コーチはチームの一員なんだ。プレイヤーとコーチの素晴らしい関係とは、選手がコーチが作ったゲームプランが正しいことを信頼し、選手が全ての正しい判断を下すことなんだ。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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