モントレズ・ハレルとデボンテ・ケイコックの相互に有益なメンターシップ

4月、フロリダ州タンパベイにある高校の体育館で、レイカーズのガード、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープがチームの状況や負傷したスター選手の復帰時期についてZoomでメディアに語っていた時、画面の中には2-Wayプレイヤーのデボンテ・ケイコックの姿があった。それは、世界中が注目するチームメイトの背後で、練習に取り組んでいる姿だった。

Source: “The mutually beneficial mentorship of Montrezl Harrell and Devontae Cacok”(Silver Screen & Roll)

ケイコックにとって、これは新しいことではない。比較的無名で、体格もずば抜けているというわけでない、ドラフト外の2年目のセンターは、レイカーズでの1年目にNBAチのャンピオンシップを獲得したが、チームがタイトルを争う中で、彼がファンから脚光を浴びるということはほとんどなかった。

しかし、この瞬間は何かが違っていた。それは、ケイコックが背景にいて、一人で孤独にゲームに取り組んでいたり、アシスタントがいて彼のためにリバウンドを取ったりして、上達しようとしている姿ではなかったからだ。NBAのシーズンが短縮されたため、レイカーズは疲弊し、最後には立っているのがやっとという状態になっていた中で、シックスマン・オブ・ザ・イヤーに輝いたモントレズ・ハレルが、ケイコックと全力で1on1に取り組んでいたのだ。

現在、ハレルはまだ27歳と、決して高齢ではない。しかし、確立されたベテラン選手がシーズンの途中で、フル練習に参加した後で、NBAでの成功を夢見る若い選手と1on1で対戦するということは、特に休養を何よりも優先したシーズンにおいては、決して当たり前のことではない。疲れ知らずに見えるハレルだが、ただ仕事を増やしたかっただけなのか、ケイコックを指導しようとしたのか、あるいはその両方なのか、それはわからない。しかし、一つだけ分かっていることは、ハレルは今季、ケイコックを助けるために努めていたということだ。なぜならそれは、彼の先輩のベテランたちが彼に教えてくれたことだからだ。

彼は、私と同じポジションでプレイしていて、サイズの小さい4番や5番で活躍している」とハレルは言う。「彼の側にいて、実際に毎日仕事をに取り組み、彼と戦うことができただけでも、素晴らしい経験だった」。

私にはこれまで、トレバー・アリーザやルー・ウィル(ルー・ウィリアムス)など、共に時間を過ごした最高のベテラン選手たちがいた」とハレルは続る。「彼らの側にいるだけで、プロになる方法を学ぶことができた。彼が私のことをそのように感じてくれたとしたら、それは私が彼らのようなベテランたちから教わった正しいことをしようとしたからだと思う」。

ハレルとケイコックの関係は、実はハレルがレイカーズに入団する前、ケイコックのルーキーシーズンから始まっていた。二人の間には、バスケットボールの共通の知人がいたが、実は、ロサンゼルスのアップルストアでの偶然の出会いと、ケイコックの母親の強い存在感が、二人の会話のきっかけとなったという。

今、思い浮かべても面白いのは、NBA選手の2人が最高級のテクノロジーチェーン店で、リーグで成功するために必要なことについて話をしている姿だ。働きすぎのジーニアスバーの従業員たちは、なぜクリッパーズのスウェットを着た巨漢のハレル(ケイコックは、ハレルが試合前後の派手な服装でなかったことを笑いながら語っていた)が、恥ずかしがり屋だが自信に満ちた23歳の若者に、アンダーサイズだがバスケットボールにエネルギーをもたらす存在になるための知恵を伝授しているのだろうかと不思議に思っただろう。当時の両チームの疑似的なライバル関係を考えると、それはバスケットボールのロミオとジュリエットのプラトニック版のように見えたに違いない。リーグのモンタギューの一人がキャピュレットと会い、背の高いリムプロテクターを越えるためのフィニッシュのコツを密かに教えているようなものだ。

彼女(ケイコックの母親)が会話を始めてきたんだ。ケイコックのほうは、『なんでママ、そんなことするんだよ』という感じだったね」とハレルは思い出しながら語った。『しかし、会話は素晴らしいものになったよ」。

翌年の夏、ハレルがレイカーズに移籍した時、ケイコックは母親の助けを借りることなく、再びチームメイトの話を聞き始めた。

大学時代に彼と比較され、ゲーム内容も似ていた。体格は劣るが、ハードにプレイするなどと言われていたのが、そんな彼から指導を受けられるようになったのは、私にとって夢のような時だった。彼は私に知識を与えてくれた」とケイコックは語る。「彼は、自分自身のゲームの進め方や知識をたくさん教えてくれた。彼は、間違いなく私を助けてくれた。彼には感謝しているよ」。

“Frank Vogel: Montrezl Harrell is “a good model” for Devontae Cacok”(Lakers Outsider)

ハレルにとっては、ベテランのメンターたちが自分にしてくれたことを、恩返しをする機会となった。

このリーグに入ってくると、さまざまなタイプの人間関係を経験することになる。でも、私が行ったヒューストンは、トレバー・アリーザやジェームス・ハーデン、マイケル・ビーズリー、ジェイソン・テリーなど、少し年上のチームだった。このようなグループにいて、実際に彼らから学ぶことができたのは素晴らしいことだった。先ほども話したが、このようなことができて、今度は若い後輩たちに伝えていけるのは恵まれていることだと思う」。

今季は、外から見たらほとんどの人にとっては無駄だったように感じるかもしれないが、ケイコックのような存在にとっては、プロのバスケットボールの世界で自分の居場所を確立し、成長するための貴重なチャンスだった。また、ケイコックが尊敬する選手から学ぶ機会を大切にしていたのと同様に、ハレルも、アップルストアでのふとした会話や、最終的に失われたシーズンの忘れられた練習の中で、自分の知恵を伝える機会を得ていた。

とてつもなく大きい関係だよ。彼は素晴らしい人間だ」とハレルは語る。「そんな人を自分の側にいて、彼にベテランと呼ばれることができ、本当に嬉しいんだ」。■

JJ
I Stan Basketball. / Started watching NBA since 2003 / A Big Fan of LeBron & Lakers / An Alumnus of University of Tsukuba / An Editor / A Blogger

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